校是”自主自律”に込められた願い

「時間励行の町」「野菜の町」 などと書いた看板を道沿いで見ることがあります。 「野菜」 は分かる。特産地ということでしょう。だが、「時間励行」 は素直に受け止められない。むしろ、そうでない町だからこそそんな標語を掲げるのだろう、と皮肉っぽく眺めたくもなります。

ところで、本校の校是に 「自主自律」 があります。 「時間励行」 と同じで、「自主自律」 が身に付いていないから、そう宣伝するのだ、と言われかねません。 あげくの果てには、そんな言葉に酔いしれて必要な指導まで放棄しているのではないか、と非難される恐れさえあります。

そこで、あらためて「自主自律」の語釈をいくつかの辞書で確かめてみました。 それらを参考に、「自主自律」 を私流に定義すれば、「他からの保護や指図を受けずに自らの判断で行動する。 同時に勝手気ままや我がままを抑え、自分の行動とその結果に対しても自ら責任を取ること」 ということになるでしょうか。 「自主自律」 は好き勝手や自分勝手とは違うのです。

こうしてみると、「自主自律」 は実に難しい。本人の自覚や強い意志がなければ成り立たない。あれこれ指図され、保護される方が、どれほど楽でしょうか。しかし、私たちは本校の歴史と伝統のなかで培われた、自主自律の精神と自由な校風をこれからも大切にしたい。 私たち教職員は支援や助言はするが、あくまで主役は生徒なのです。語りかけ、待ちながら、「自らの判断で行動し、その結果に対しても自ら責任を取る」 人間を育てたいのです。

ついでに三省堂の新明解国語辞典を引くと、校是とは 「その学校設立の根本精神を表す短い言葉」 とありました。

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